カテゴリー「日記・コラム・つぶやき」の記事

2014年9月29日 (月)

歌舞伎町でバンスキング

Dear NG,

Sorry, I cant write sentences in Japanese in this PC. And, sorry too for being not able to see your stage yesterday. But your information was too sudden. So, please give me your information before a few days which you play. If I have a chance, I will see your live in next time.

Regards,
K


前略
 K君へ。
 いつも連絡が遅くてごめんよ。
先週は九州にいると言っていたが、もしかしておまえは今日本にいないのか?
どちらにせよおれは英語で文章を書くことに慣れていないし、おまえにそんな労力を使うことを考えると胸がムカついてくるからブログに書くことにした。中学生の頃のようにおまえと知恵比べをするつもりはないんだ。おまえのみているPCのブラウザが日本語に対応していることを願うよ。

で、とりあえずだけれど、10月3日の深夜に新宿ロフトのバースペースでおれのイベントがあるから観に来てくれ。
NGもついにロフトでイベントをやるようなところまできたんだよ!!と言ってもおまえはスタジアムロックとハービーハンコックしか聞かねえから新宿ロフトと言ってもピンとこないかもしれないが。まあいいんだ。

 企画のタイトルは「新宿バンスキング」と言って、これは30年くらい前に上演された「上海バンスキング」という舞台の名前から拝借した。
上海バンスキングは戦中に上海租界で活躍して放蕩のかぎりを尽くしていた日本人ジャズミュージシャンたちの群像劇だ。
この舞台の元になった人物に服部良一という戦前から活動しているミュージシャンがいる。上海バンスキングは彼のイ
ンタビューを元に作られたらしいんだ。服部良一はジャズを日本の音楽に持ち込んだ第一人者で、歌謡曲の父と言ってもいい偉大な存在だ。李香蘭や淡谷のりこ、笠置シヅ子の曲を作曲した人だよ。今回のイベントには服部良一の音楽の放つ、いかがわしさや夜の雰囲気へのオマージュが込められている。
 もうひとつのテーマは群像劇。おれは群像劇がやりたいんだよ。誰かのパーソナルストーリーじゃなくて複数の人間の運命が入り乱れてぐちゃぐちゃに時代が変わっていくような、そんな出し物をやりたい。例えばフランスの映画で「天井桟敷の人々」みたいな。初めて観たとき、「これだ!」って思ったんだ。寺山修司の方じゃないよ。劇団「天井桟敷」の元ネタだ。だけどおまえは宇宙のダークマターやひも理論に夢中だったから、映画や演劇には興味ないかもな。たまには映画も観るべきだよ。

で、10/3の出演バンドを簡単に説明するよ。

○ユーテツ&ワセイ(fromチムニィ)
「ロックバンドチムニィのMCとギター」
 おまえはチムニィってバンド知ってるか?かつておれは企画にチムニィと思い出野郎Aチームとタリバナサンバを呼ぼうとしたんだが、あのときもうおまえはバンドを抜けてたんだっけ?
チムニィは信じられないくらいタイトなリズムとラップを使ったかっこいいロックバンドだ。そのチムニィのリリシストのユーテツさんと、色とりどりのコードとカッティングの使い手ワセイさんが2人だけでアコースティックで出演してくれる。東京のど真ん中という曲はワセイさんとユーテツさん2人でやっててYouTubeにもビデオがあるから観てみてよ。


○Neo Tokyo Break Down With Cheap Death
【瀬尾マリナ(vo)壱(ds) yusa(key) 村上大輔(sax) 羽賀和貴(gt)関口萌(gt.vo) 】
 このネオトーキョーのメンバーはそれぞれがライブハウスで有名なバンドで活躍しているオールスター的なメンツのバンドなんだけど、それぞれのバンド名を羅列してもあんまり芸がないからやめるよ。皆で隠し育てたグッドミュージック。アンサンブルの良さを素直に感じさせてくれるバンドだよ。おれは毎回ライブを観に行ってる。企画に出てくれてとても嬉しい。


○AnAn-POGA
「2011年結成のAnAn-POGA (ex-アングリポガチャン) ・フィドル・ザイラフォン(木琴)・トランペット・ギター・ベース・ドラム・そして全員がヴォーカルと言う大所帯バンド! 所狭しに並べられた世界一の音符達が、発狂をくり返しながら小節を切り裂いていく! 激しく振り回されるフィドルや木琴がバンドサ ウンドを唯一無二のものにする。 AnAn-POGAは音楽の根本にある『くり返し』を 排除して新しい音楽を作ってきた。 これは昨日生まれた奴にでも真似が出来るくらい簡単な作曲法! これが『ドンファン・ミュージック』だ! 2014年は春、夏、年末と1年に3枚のシングルをリリース! あらゆるバンドを経て来たメンバー達。 リーダーのEPPAIは去年ソロでフジロック・フェスティバルに出演し、今年の夏にはフランス・ツアーを終えたばかりだ! メンバーの中にはライブハウス武蔵境スタットのオーナーもいる!
AnAn-POGA WEB http://www.anglipogachan.com/anan-poga.html 」
 アンアンポガは詳細なプロフィールを送ってくれたからおれからあんまり付け足すことはない。おれたちの地元のライブハウス、スタットの店長マンブさんとハタケヤマさんがいるよ。スタットのラスボス的なバンドだ。ジプシーパンクぽいけどもっと発狂してる。月並みな言葉だけど普通な音楽に飽きてる奴に聴いてほしい。


○殺し屋ベイビー
「東京で活動する日本唯一の「プログレッシブ童謡」バンド。風の音。空の色。夕暮れの恐怖。暗闇の孤独。猫の足音。少年の繊細な心の描いた歌詞をどこ か懐かしいメロディーにのせ、無駄にドラマチックな展開・コーラスでみんなをびっくりさせたいと思っている音楽集団。 6人が紡ぎ出すちょっぴり奇妙でセンチメンタルな音楽は、一度聴いたら忘れられないはず。 」
ギターボーカル、エレキギター、ベース、ドラム、サックス/キーボード、クラリネット/アコーディオンという6人組だ。プログレと言えば中学校の頃おまえの部屋で一緒に21世紀の精神異常者をコピーしたよな。プロフィールにプログレと謳われているが、むしろクイーンみたいなバンドだと思うよ。中央線で飲んでるクイーンみたいな。無理ある説明だけど、観たらわかってくれるんじゃないかな。


○The Damn Right’s
 ダムンライツは最近結成されたバンドで、ギターボーカル、ピアノ、ドラム、シンセ/ベース、バイオリン、ダンスという6人のバンドだ。あんまり公にアナウンスしてないが、驢馬の大坪と福井とおれが参加している。大坪のソロの曲がメインで、彼の音楽の複雑さと繊細さが核になってる。


zampanoが出演するけど、zampanoはこないだ観てもらったから説明は省く。


あとDJTAKEEって奴がでる。こいつはおれの後輩なんだが、いつの間にかものすごく音楽に詳しくなっていて、イベントをオーガナイズしたり、ニューオリンズの音楽やアフリカの音楽のレコードをたくさん持ってるんだ。こいつがなにを回すかも楽しみだ。
 
 こんな面子で企画をやるんだ。面白そうだと思わないか?是非観に来てほしい。深夜23時半から開始だから気をつけろよ。はやく行ってもいないからな。間違って二丁目とか行くなよ。

 ブログのネタにさせてもらって悪いけれど、おまえが元気でいることはおれたちの旧友たちを元気づけるんじゃないかと思うんだ。みんなバンドを辞めて、散り散りになってなかなか会うことができないけれど、きっと多分このブログは読んでいるんだと思う。
もともと物理学を専攻していたおまえがバンドを辞めたあと、研究者になって論文を発表したり、ヨーロッパの学会に殴り込んでいると知っておれは嬉しかったよ。ただ、久々に会っても部屋で黙々と数式に向かってるおまえをみて、昔の引きこもり具合と何がどう変わったのかはわからなかったけどな。それはでもきっとおれにも言えることなんだろう。

何はともあれ、3日の夜は歌舞伎町で待っているよ。


草々

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#10/3(fri-midnight)@新宿LOFT
NG企画「新宿バンスキング」 open23:30/start24:00 ADV¥1500/ DOOR¥2000 +1Drink

出演バンド
・zampano
・The Damn Right's
・ユーテツ&ワセイ(fromチムニィ)
・殺し屋ベイビー
・Neo Tokyo Break Down With Cheap Death
・AnAn-POGA
・DJTAKEE

新宿ロフト

〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1-12-9 タテハナビルB2



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2014年9月25日 (木)

who is this bitch anyway?

まったくブログを更新できてない日々よ。これは一週間前に書いていた書きかけのままの文章だ。

 zampanoの東北ツアーから帰ってきた次の日、いいかげんに身体を休めようと時間労働のシフトは休みにしてあったはずだったんだが、職場に呼び出されて結局は出勤する羽目になった。
出勤してみれば厨房の前菜場はぐちゃぐちゃに散らかっていて色んな仕込みが追いついていない。だいたい、おれはここ3ヶ月くらいはホールで働いていたからキッチンには久しぶりに入ったのに、他のやつが如何にめちゃくちゃに働いていたか思い知らされた。
 長い過酷なツアーから帰ってきていきなりこの仕打ちかよと思ったが、開店と同時に店は満席になってそんな文句を暢気に垂れている場合じゃなくなった。おれはそこから6時間ほど仕込みをしながら料理を出し、走り回る羽目になって、完全に美しく幽玄だった東北の余韻は吹き飛んだんだ。

 山形の酒、月山(がっさん)という吟醸酒をおみやげに買ってきた。職場には酒飲みが多くて、とにかくかなりハードコアに飲む人たちなんだ。そこはNG的にはウマが合う雰囲気だから、それで今の仕事を続けられてるのかもしれない。ツアーはどうだったの?と聞かれて、「大人気でCDが売り切れました。馨子の声はラリって聴くと最高に気持ちいいみたいです」と言うと皆笑ってくれた。冗談だよ。深くは言及しない。
職場の酒飲みたちにもzampanoは人気がある。かなりハードな勤務状況の同僚や上司たちにとってアルコールで酩酊しながらzampanoを聴くと「まるで働きたくなくなる」というのが人気の理由らしい。おれはそんな風に思ってもらえるのがとても嬉しい。ジャンキーの耳の救世主save ya!だ。

 それから似たような日々が一週間続いた。その中でも驢馬が、zampanoが、ダムンライツがライブをやって東京の夜を局地的に賑やかせたが、東京はいかんせん人が多すぎて建物も入り組んでるし、その音楽的熱狂があなたには伝わりづらいかもしれない。
そうこうしてるうちにおれはダンサーの女とこっそり2人でエリカ・バドゥを観に行ったりした。エリカ様は神懸かりだった。

「NGにはなんで恋人ができないんだろうね。一緒にいると意外と楽しいのに」

よけいなお世話だ。
ダンサーはタメ年のくせに落ち着きやがって彼氏の前でもおれを平然とデートに誘ったりしやがる。おれは彼女をドキッとさせられないかいろいろ試してみたが、彼女を本当にドキッとさせたのはおれじゃなくて夕暮れの海に沈む太陽だったり、遠くで聞こえるDJだったり、 NASのライフイズビッチだっりした。しかもドキッとしてるのはむしろおれの方だった。

”Life's a bitch and then you die; that's why we get high
Cause you never know when you're gonna go

Life's a bitch and then you die; that's why we puff lye
Cause you never know when you're gonna go

Life's a bitch and then you die; that's why we get high
Cause you never know when you're gonna go

Life's a bitch and then you die; that's why we puff lye”


”人生は雌犬だと、あなたは死ぬ。それは、私たちが高い 原因を取得する なぜあなたは、外出先つもりだときに知っていることだ

人生は雌犬だと、あなたは 死ぬ。私たちは灰汁をパフ 理由です”


 Googleの自動翻訳でLife’s a Bitchを翻訳するとこういう意味らしい。

歌詞の本当の意味はどうなんだろう?

人生は雌犬?

千葉の海浜幕張という人工的な都市の夕暮れでおれは、きっと雌犬の意表を突く一言を今、言えないだろうと想った。だから黙っていた。

そしてそのとき思い当たったんだ。

真に信頼しているような、ある意味で愛情よりも強いシンパシーを感じている人には、何も言わずに黙っていることこそが正解だと、この日にやっと気づいたんだ。
散々失敗した後の今となって。

そして今まで経験したすべての美しい大事な場面で、NG的なくだらない言葉を吐いて大切な人との関係を台無しにしてきたことに気づいたんだ。

やっとそれに気づくまで遠い遠い回り道をしていてアホみたいだ。しかもこのブログに書いてしまったことで結局言葉で全部言おうとしてしまっているNGなんだ。たわけが。


人生は雌犬だと、あなたは死ぬ


何かに気づいたりしても、何かが変わるわけではないかもしれない。
それでもおれは感謝したい気持ちだった。



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2014年9月17日 (水)

ハレとケについて ジョニーへの手紙2014年9月17日

親愛なるジョニーさんへ

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zampanoの羆嵐(くまあらし)ツアーでは大変お世話になりました。ありがとうございました。

先ほど東京について、馨子とユウキさんとは別れ、ツアー帰りですがそのまま福井とふたりでThe Damn Right’sという新しいバンドのリハーサルをやるという強行なスケジュールを終えたところです。
The Damn Right’sはザ・ダムンライツと読むんですが、驢馬の壺くんがアコギと歌。おれはピアノ。福井がドラムというメンバーに、バイオリンと、シンセ兼ベースと、ダンサーの三人の女性を加えた新しいバンドです。
ユーラシア大陸のカントリーミュージックみたいな、滅びた部族のポップチューンのような、すてきな音楽をやっていると自負しています(ソングライティングは壺くんです)。
きっとジョニーさんも気に入ると思います。音源ができたら連絡します。

 ダムンライツの曲を演奏しながら目の前に星がチカチカしてました。ちょっとツアー中に無理をしすぎたかもしれません。

夜叉鬼祭で観たあの星空の星を一つずつ消灯していくような、
朝方に現れた幽玄で広大な雲の海が次第に薄れて散って、消えていくような、そんな想いがしました。
素晴らしかった体験の後の余韻に自分で幕を下ろすのは少し辛いし、自分の感動にわざととどめを刺すようで嫌ですね、

でも、かなり無茶苦茶とは言え、おれたちもやはり日常を生きているし、
音楽家のすべきことはいたずらにサステインペダルを踏むことではなくて、次の魅力的な余韻のために勇気を持って新しいアタック音を鳴らすことだと思っています。

だから無茶だとわかっていましたが、わざと予定を入れました。
でも秋田にいると東京の自分が無駄に生き急いでるように思えてなりませんが、、、

パンゲアもブルースヒロもとても楽しい場所でした。
パンゲアは最初すこしおっかなかったのですが、冷静に考えたらジョニーさんから紹介していただいた四階もステップスバーも最初はかなり怖かったので(笑)、結局打ち解けて慣れました。
身から出たサービスのシュウさんとカタケンさんには大変お世話になりました。紹介いただいてありがとうございます。

ブルースヒロは老舗のブルースバーといったような落ち着いた内装で、おれはブルースバーで育ったのでかなりリラックスして演奏できました。山形でずっと演奏したかったのでできて嬉しかったです。ちょうど山形のじいちゃんの亡くなった一周忌で、一曲だけおれが歌う曲を演奏しました。
酒田のことやバンドのこと、いろいろ聞けました。打ち上げでキツい地元の訛が理解できることは初めてだったので、それもとっても嬉しかったです。
乞食晩餐会のシンイチさんとクッタカさんによろしくお伝えください。 



米子さんにも大変お世話になりました。たくさんの色の布と装飾に囲まれた素敵なお店で、アウェイなのにホームみたいな気持ちになって。ライブから帰る場所があるだけで安心できました。一流のもてなしをいただいて感謝しています。




夜叉鬼と米子の伝説の話を聞きました。おれには夜叉鬼祭は偉大な山賊の祭りにしか見えなかったし、新たなやり方で昔話のような祭りと世界を作り上げた皆さんに感動しています。


いろいろあったけど、ジョニーさんと秋田の仲間たちと火を囲んで時間を供にできたことも忘れられない思い出になりました。
山奥の民族の長老たちと話しているような、夜叉か鬼か神々と話しているような思いでした。
星が輝きすぎていたし、インディアンが輪を囲んで話し合うときの厳粛でリラックスした空気を味わいました。神聖な部族会議におれたちを招いてくれて光栄の限りです。

なんか誉めすぎて気持ち悪い感じになりそうなんでもう止めます。


 ここに書いたことはジョニーさんが祭りの合間をぬって会いに来てくれて「NGくん、《貧民街》を教えてよ」とトランプを持ってきてくれたことが嬉しくて。ジョニーさんがかなりヘビーにおれのブログを読んでくれてるんだなと思いました。
おれの改良版《貧民街》はちょっといまいちでしたね。やはり《貧民街》は一切ドローせずに持ち札五枚のみで戦う下町喧嘩ルールがいちばんおもしろいと思います。

 来月は南の方へ行くので、しばらく東北に行けるかはわかりませんが、今新しいアルバムを作っているので完成したらまた行けると思います。また必ず会いに行きます。
それまでお元気で。

2014年9月17日
NGより

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2014年9月12日 (金)

脳細胞以外で感じれるもの

 バンドの演奏旅行を終えて家路につくとき、その土地をずっと通り過ぎて何を見たのだろうかと考えることがある。


昨晩は友人たちに頼み込んで忍び込んだホテルで寝た。フロントの女性は奇怪なバンドマンが時間をずらして1人ずつ311号室に入っていって朝になると1人ずつ出てくるのを不思議に思ったかもしれない。おれは図体がでかいから忍び込もうにも難しいんだ。だから逆に堂々するようにしてる。

二日目は帯広へ。同じ道内と言っても、札幌から帯広は200kmある。本州で例えれば東京から静岡くらい?か?
でも道がずっと限りない直線だから、時間は本州よりかからないだろう。とても気持ちいい。風が乾いておる。

峠を越えると白樺と見渡す限りの農地や牧草地が広がる北海道的な風景が待っていた。

おれたちはその道をものすごいスピードで通り過ぎてゆく。観てはいるが、風景は時速90km前後で擦過して、デントコーンにも、サイレージにも、標本のような白樺の木肌にだって触れてはいないのだ。
 
帯広についた。駅前の大きなアーケードの通りは人気が少なくて、シャッターも目立っていたけど時折トラディショナルな佇まいのブティックや、渋いCD屋なんかもあって、なによりも風が乾いていて気持ちよかった。
昨夜の札幌ススキノはやはり大都会。帯広は閑散とはいかないまでも人が少なかったが、通りで人々がリラックスして店の前の椅子に座って話している姿は開放的で爽やかだ。
人間はこれくらいのほうが居心地がいいんだ。

通りの少し外れに今夜の会場、Studio RESTがあった。

リハーサルを終えて、メンバー全員でインデアカレーというカレーを食べた。旨かったし基本的に490円と安かった。おすすめの豚丼の店は残念ながら通り過ぎてしまった。


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書くこと、書きたいことは山ほどあるけれど、ライブに関しては記事では触れない。
何度も何度も演奏する夜を過ごしていると、その夜の演奏と空気はその場にいた人々だけのものにしておきたいという気持ちになってくるんだ。とくに理由はないよ。

演奏を終えて外に出ると雨が一度降って上がった後だった。

さすがに雨上がりの北の大地の夜は肌寒くて、夏なんてもう遙か遠くに置いてきた実感があった。

バッドアタックのヤナさんとショウタくんと驢馬のカツヤさんとでコンビニまで散歩して、缶ビールで乾杯した。



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バキバキに疲労が溜まった状態で空港。おれたちは搭乗を待っていた。目の前に北海道が広がっていたけれどあとちょっとで触れることができなかったように思えた。でもそれでもいいかもしれない。かろうじて通り過ぎてすれ違ってニアミスしているような感じ。でも自分の観てきた物事を想像することは楽しい。
想像力こそが。と思う。前にも書いたかもしれない。忙しい日々だけどこうして搭乗を待って五人でぼんやり空を眺めることもある。
それぞれが何を想うかは知らんけど、おれはあったかもしれない白樺や牛や、ただまっすぐな道路のことを思い出していた。
 それはありきたりな使い古された北のイメージだけど、確かにあった気がする。そしてライブハウスに集まっていた情熱的な人々。どこで何度見ても全然違う風景を描写するのはなかなか難しい。
況やおれのズダボロの欠糖状態の脳細胞は本人の意思を無視してただただ眠ろうとしていた。



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2014年9月 8日 (月)

パンクスたちのパスポート

 おれたちは札幌に訪れて、ライブハウスに着いた後にリハーサルをやって。開場までの時間を持て余してライブハウスの屋根裏部屋のような楽屋で黙々とA4のフライヤーに刃を入れ続けたり。

電気を点けない部屋の中で、急ぎ足に傾いていく北の太陽は次第に翳っていた。

「なにやってんだよ、電気つけなよ」

THE KNOCKERSのボーカリストが楽屋に入ってきて、東京からきた余所者たちは頭を下げる。
 
彼の肩には「NO REALIZE」と書かれたパッチが貼ってあった。

zampanoと驢馬で秋田を旅したとき「NO REALIZE」というハードコアパンクのバンドに大変お世話になった。

NO REALIZEのパッチに気づいたおかげで、北海道のバンドマンと打ち解けることができた。

彼らのボロボロになったパッチワークの意味は、スポーツ選手が着るユニフォームにあるスポンサー企業ロゴの正反対だ。

旅する音楽家にとってパンクスのTシャツやパッチワークやシールは共感と信頼関係を顕すパスポートみたいなものなんだよ。

おれはあんまりシールやパッチをつけないけど、彼らのクラストパンツや武装を見て意味を考えるのが好きだ。

もちろんそれらは輸入されたアイデアなんだけど、日本の、たとえば北海道と秋田をつなぐくらいには根付いて機能している様を目の当たりにするとパンクスのブリコラージュを尊敬するし、嬉しいシンパシーを感じる。

それは文化といっても差し支えないんじゃないかと思う。
彼らはそんな言葉どうでもいいかもしれないけどね。

今回企画してくれた札幌イベンターは、ワークパンツに驢馬のロゴを描いてくれと言ってくれた。

ずっと驢馬のホームページを観てて、毎回おれの書くセットリストの文字を「カッコいいからいつかサインをもらおうと思ってたんです」だって。驢馬のホームページのsetlistってのは確かにおれが書いていて、でも誰も観ていないんじゃないかと思ってたんだが。毎回ライブをやってる痕跡を遺したくて始めたことだ。北の人がずっとおれの書いた字を観ていてくれたことが嬉しくて。彼のワークパンツに真剣に描いたよ。
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彼がもしかして驢馬と描いてあるワークパンツを穿いて東京に来ても人々はそのバンドをわからないかもしれない。東高円寺だったらわかってもろえるかもしれないけどな。満州王の親方だっておれたちが何てバンドなのかは知らないだろう。

それでもきっと、驢馬のアーリーイヤーズにワークパンツにサインを求めた青年がどれだけ気合い入ってるか、素晴らしい価値があることをおれたちの音楽で証明してみせるよ。ありがとう。




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2014年8月26日 (火)

夏休みの日記の書き方

 立て続けにレコーディングがあった。とはいえ、おれはDick Sucking Fool At Pussy Licking Schoolさんと直江さんの音源のミックスを終わらせてないのにいいのか???(よくない)
 ミックスはやれてないのに、レコーディングはどんどん進んでゆく。まるで夏休みが終わってから日記を書いている小学生みたいに。まるでじゃないか。まさに今それだ。
 おれは夏休みの日記は終わるまで一日も書かないで、終わってからまとめて全部書くスタイルの作家だった。だからある一日に博物館に行ったとするじゃん、するとそのアクセントになるような一日の内容を三日間くらいに引き延ばして書く、というような卑怯な書き方をする小学生だったんだ。


×月×日×曜日
きょうははくぶつかんにいった。やはりさんようちゅうはすごい。さんようちゅうとかせきにしかきょうみないのでそこからうごかなかった。アンモナイトがほしい。

×月×日×曜日
はくぶつかんのことをおもいだした。にかいではマヤぶんめいてんをやっていた。ミイラのえはあるのにほんもののミイラはなかった。ふざけんな。ぼくはミイラにはずがいこつにあながあいていたことをしっている。たましいをにがすためなのかたましいがにげないようにだったのかはわすれた。ミイラはしょうじょだったようだ。
 
 
×月×日×曜日
ぼくはきょうりゅうのなかでははげてずつきをするきょうりゅうがいちばんすきだけどなまえがおもいだせない。おかあさんにおぼえておくようにいったのにおかあさんはまったくおぼえていなかった。でもずかんがあるのでそれをみればなまえはわかるのだ。ずかんをみてもぼくはさんようちゅうをさがしてしまう。さんようちゅうとかぶとがにのちがいはなんだろう。かぶとがにはたべてもいいけどさんようちゅうはきちょうだからたべてはだめだ。

×月×日×曜日
なわとびをした。ほんとうはドラクエかサッカーをしたかったのだが、ドラクエはもっていなかった。サッカーボールはぶんなげておがわくんのがんめんにぶつけたらおがわくんは「ハンドだからレッドカードだ」といってかおをまっかにしておこった。おこるとかおがまっかになるからタコのおがわとよばれている。ぼくはいしざかくんのがんめんブロックがすきだ。サッカーボールはとりあげられた。なわとびはきらいだ。


まず一日目は本当にあったことを書いているのだが、あえてそれを一日の欄に全部書こうとせずに出し惜しみしているのがセコい。

二日目は「おもいだした」とか言って一日目の内容をさも当然のように引き延ばしている。小学生の感動があふれて一日目の枠をはみだしても大人は許すだろうと言う小癪な発想だ。生意気なガキである。

三日目に至ってはもはや引き延ばす言い訳すらしていない。「感動の内容を引き延ばすのは当然」という態度である。クソガキが。というかこいつは興味のあることにしか興味がないようだ。なのに好きな恐竜の名前をお母さんに覚えさせるなよ。お母さんは外付けハードディスクじゃねえ。ちなみに頭突きをする恐竜はパキケファロサウルスと言う。ベースのカツヤさんが教えてくれた。
 
四日目に至っては創作である。たしかにおがわくんは実在する(おがわくんごめん)が、ボールを顔面に投げつけてはいない。イマジネーションだ。なわとびをしたのは本当だが、それは夏休みになって二学期の課題でなわとびが指定されたからであって、時間軸としては夏休みのことではない。創作するときはこうして現実に起こったことや、自分の願望をテコにして論を展開するとリアリティが増す。
みんなも参考にして夏休みの日記をがんばってくれい。





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2014年8月16日 (土)

バカヤローとコノヤロー

 おれは今高円寺でライブハウスのオープンを待ってる。雨は止んで、積層した雲が夕方の波長で青からしだいに紫がかってきた。
 昨晩はロフトでzampanoのライブだった。おれが推薦したバカヤロー列伝&ザ・コノヤローズというバンドと飲んでた。このバンドのボーカルの哲という男は真面目すぎるがステージでは獣になる男。なんとなく松田優作を芋にした感じのやつだよ。
昨晩のMCでおれはかつてロフトのバースペースを燃やしたことを言ってしまった。大丈夫だったのか?
昨晩のMCで柳沢さんが
「おれは普段家でハードコアとか聴かないんだけど、ハードコアの人が「真の敵は自分自身、己に勝て」みたいなことを言うのが、柔道部出身の自分に響いたんだと思います」と言ってた。
ああ、だから驢馬を好きになってもらえたんだなあ、と思いました。

 おれのアホバカフラレ裏切られ話は打ち上げの格好の話題となり、同級生であるミッキー(福岡帰りで駆けつけてくれた)は、予想通り盛大にバカにしてくれるわ、バカヤローの後輩たちは
「多分NG兄貴がコンビニに行った瞬間「あの先輩空気読めんじゃん」ってなったんじゃないすか?!!(笑)」
とか言っておれを喜ばせてくれた。

 今夜はTheうんこという極上のブルースデュオと対バンする。ふざけてると思ってるだろ?本当にすごいブルースなんだよ。観に来たらいいんじゃない。



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2014年8月15日 (金)

she broght me gasoline

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朝起きたら、連絡が来てた。LINEというやつだ。おれはLINEが嫌いなんだ。ろくな知らせがないからな。いつかやめようと思ってる。
 昨晩はおれを待ってる間に男の一人が警察に職質されてとっつかまって解散になったらしい。なんでつかまってるんだ?危険ドラッグでも持ってたのか?おんもでハーブでもキメてたのか??

ともかくおれの情けない感じの夜の真相はそういうことだったらしい。
まあまあ疑問は残るけど、それ以上問いただしたりするのはやめた。ネガティブもやめだ。おれはとりあえず朝の腕立て伏せを20回だけやってぼんやりしたのだ。

 近ごろの夜は警官をよく見かける。何年か前はガキが夜遊んでても警察が首を突っ込んでくることは少なかった。数年前より格段に幅を利かせてるんだ。昨日一緒に飲もうとしてたガキどもは未成年だったから色々問題があったのかもな。でもおれが見た感じ彼らはソフトドリンクしか飲んでなかったけど。

もういいや。と思った。昨夜の記事を見返すとびっくりするくらいネガティブだし、しかもなんか原因が愚かで情けなくてそれにも驚く。どうやら精神が弱ってるみたいだな。何もかも良いような気がしてたやつが、いきなりカードが全部裏返るみたいにネガティブになることってあるよな。今、そんなときみたいだ。

例えば巡り合わせが悪くて、女性や子どもから無碍に扱われても、それは運命だ。おれは何も悪いことしてないのにyou don’t treat me rightだってハウリンウルフも言ってたし。I quit youだよ。ハウリンウルフといば
「i ask for water, she broght me gasoline」
という名言があって、これは直訳の「おれが水を頼んだら、彼女はガソリンをくれた」という意味でいいのかどうか、計り知れないな。もっと何か深淵な隠微な意味があるのかな?
他にも「おれの部屋は大鋸屑でいっぱい」とか(オナニーのことをいってるのか?それとも事後のことか?ハウリンウルフが女性をケアするとは思えないけどな)、南部の英語に詳しい人がいたら教えてください。

つまりそういうわけでNGはガソリンをしこたま飲まされてテイルドラッガーかつバックドアマンな気分だぜ。イェ!


今夜は新宿ロフトでzampanoでライブだから観においでよ。18時半から一番手。

NGはボーンアンダーバッドサインなので、バッドラックな時ほどブルージーないいギターを弾くのさ。最高にブルーな音が出る気がするぜ。イェ!


8/15(金)@新宿LOFT【ロフトノススメ】
出演:バカヤロー列伝&ザ・コノヤローズ/zampano/ホワイトルーザー/遠井地下道(from-イギリス人)
/OP18:00/ST18:30/ADV\2300/DOOR\2500



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ゴミ以下の気分



おれは今吉祥寺の駅にいるんだ。

どうやらひとりのようだ。

朝から夜まで通しでバイトが終わった後、後輩から飲みに誘われた。
だけどおれはどうやらそこへ行っちゃいけなかったみたいなんだ。バイト先の仲間が他の職場のやつを迎えに行くと言って、その間に外でずっと待ってると言うから、おれは気を利かせたつもりで後輩に酒を買いにコンビニに行った。で、帰ってきたら誰もいなかったというわけだ。誰とも連絡がつかないし。
マジかよって感じ。
こんなことやったこともやられたこともなかったからな。おれの危機管理意識とか見る目がなかったんだなとしか言えない。

初めての気分。
 
でもそんなに初めてじゃないか。

おれは最近、デートの約束を取りつけても簡単にすっぽかされるんだ。

ずいぶんと安くなったもんだ。

本当にゴミ以下の気分だよ。

もしおれに会いたくないならどうかハッキリとそう言ってほしい。

でもそんなことは世の中にはないんだ。


ただただ、あいつには正直ウンザリだと陰で想われているだけなんだろう。

でもそんなことで卑屈になったら負けだと思うし、人に疎まれたから人を憎んだり 、人に無関心になるような、単純なことをしたらおれが今まで生きてきたやってきたことを否定することになるだろ。


だからしないよ。


 ただただ自分が間抜けだったと言うしかない。


笑ってくれよな



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2014年6月 5日 (木)

zampanoというスタンドの能力は綴れ織ること


 
 zampanoを始めてからもう三年になる。はじめはバー巡業のための節操もへったくれもないデュオだったけれど、色んな人が関わって助けてくれて、今みたいな形になったんだ。


(zampanoの結成にまつわるストーリーは
①NGが馨子を言葉巧みに誘拐
②誘拐した馨子にズブロッカを飲まされて苦しむNG

というトートバッグのデザインになってわかりやすく説明されているから是非ライブの物販で見てみてくれ)

 zampanoは関わった人たちと「綴れ織る」ことができるデュオだと思う。第一にzampanoを好んでくれるような人は、独立志向が強くて、自分でもなにかものをつくることが好きなタイプが多いんだ。

「ブリコラージュ」なタイプ。これはNGの個人的傾向でもある。
ブリコラージュとは手作業とか日曜大工みたいな意味で、パンク音楽に関わる人に馴染みの深い単語だと「DIY」の精神に近い。do it yourself 自分でやる、という精神。驢馬に入ってからNGはパンクスの文化に触れて、彼らをとても尊敬しているしシンパシーを感じる。ブリコラージュの意味はもう少し柔らかいニュアンスだ。DIYほどヒリヒリしていない。暇に飽かせてやっている雰囲気。好き勝手な、即物性の薄いモノ作りのニュアンスを持っている。

 ブリコラージュな気質をもっている人物とNGは大変気が合うと思うんだが、それでも、zampanoが無くては点在するブリコラージュな創造的な人たちをここまで縫い合わせるようにつないでいくことは出来なかったと考えている。

 創造的な人物は得てして孤立しがちなんだ。彼らを縫い合わせ、まるでひとつのストーリーみたいに物語ったり、彩りの豊かなすばらしいタペストリーのような絵巻物に綴れ織ることが出来たのは、歌い手の馨子の力によるところが大きいと思う。感謝しているよ。

まずおれはブリコラージュなタイプの人と出会ったり、その人と仲良くなったりすることは自信あるんだけれど、そこからなんていうか自分の作品に巻き込むのは気が引けてしまうんだな。
点在する創造性は点在することによって独自の重力と環境生成能力を持っているから。別の場所にその植物を移したときにうまく行くかはわからないんだ。
それにおれは粗雑なところがあるから、誰かの素晴らしい独自の発明品を持ち歩いてる間に落っことして壊してしまったり、本人の用意した鉢とは別の鉢植えに容赦なく植え替えてしまったりする。自分でもわかっているけれど、よくないところだよな。

 ところがどっこい馨子は、創造的で頑固な人物にスッと好かれてしまうんだ。なぜだかわからないけどね。そして半ば強引にその人のモノをねだって手に入れたり、あろうことか本人を全然別の場所に連れ出したり手伝わせたりして、自分の作品に取り込んでしまう。そのやり方がまた天晴れで、ユスられたり奢らされたり手伝わされたりした人がため息をついて許してしまうような、ちょっとした彩りを添えて素朴な作品に纏め上げるんだ。やられた人もまあいっか、って思ってしまうんだろう。おれはそばで見ててけっこうハラハラするけどな。恐喝みたいなもんさ。さすがにレーベルの社長に自分らのアルバムのジャケット版画を刷らせようとしたり、ジョジョマニアのカフェの店長からスタンド・ヘブンズドアーのフィギュアせしめたり、仙台のロックンロールレジェンドに出会いしな「お父さん!」って呼びかけたときには焦ったけどな。zampanoの相方としてはバッチリだろ。

 zampanoの大部分、とくに作曲と歌詞に関してはNGがやってるから馨子はちょっと軽んじられてる気もするが、わかってる人にはzampanoにおける馨子の重要さは大いに認めているところだろう。だいたいがこのブログまでたどり着いてる人は馨子の凄さなんて十二分にご承知のことだろうけど。あえて語りたいような出来事がつい一昨日にあったんだ。
 
 実はさ、公には話さないでほしいんだけど、仲間のクソボケ野郎がヤバいことをして病院送りになっちゃったんだ。人には言えないような愚かなことさ。おれと馨子はその知らせを受けたとたん、病院に駆けつけて迎えに行ったんだ。そいつは本当に最低のクソ野郎なんだけど仲間だからな。どんな愚かなやつだとしても、そういうときは助け合わないといけないんだよ。おれはそういうタイプだし、馨子もそうなんだ。
 一応その野郎は無事で、トラブルも大事にはならず、家まで送ることになったんだけど、まだ容態は芳しくなくて。家についてとりあえず寝かしつけた。そいつは意識はハッキリしてるみたいだが謎の譫言をのたくって錯乱してヤバい感じだった。
 そのとき馨子は歌を歌ったんだ。ライブのときにやるようなやつじゃない、やさしい子守歌みたいなバラードとかを小さい声でね。
ビビったよ。だいいち「歌を歌う」という行為をそういう場面ではなかなかみれないしな。
しかもヤバい目をしてた愚か者はみるみるうちに落ち着いた笑顔の表情になっていった。精神の安静を取り戻したんだ。
そして馨子はそいつのために朝まで小さな声で歌を歌い続けたんだ。これにはまいったね。本当に歌でそいつを治癒させてしまったんだ。

 断っておきたいんだが、馨子には歌で癒そうなんてつもりはこれっぽっちもなかったんだと思う。あいつはただ単に歌が好きで、歌うことが心底たのしいだけなんだ。それでもあいつの歌声には力がある。人を落ち着かせるというか、イヤな言葉で言うと癒しの力があるんだろう。よくzampanoのCDを聞いた感想で、眠くなるとか、働く気が失せると言われるけど。多分そういうことなんだろうな。まさに「ジャンキーの耳の救世主save ya」だ。

 もうひとつ馨子を相棒にしようとおもったわけがある。あれも何年も前なんだけど、大がかりな祭りがあって最後の最後で祝いの炎が大きな火柱になってた。祭りに関わってたみんなが盛大に飲み過ぎてぶっ倒れてた朝方、おれも例によって飲み過ぎて倒れてたんだけど、馨子は飲めないから、倒れてたボケどもを介抱してまわってたんだ。脱ぎ散らかしてある防災ジャケットをひっつかんで、倒れている男たちにかけてやってた。そのころはおれは馨子とはろくに喋ったこともなかった。おれは朦朧とした意識で薄目をあけて馨子の行為を見ていた。すごいやつだな、と思ったよ。

 そんなこんなでおれと馨子はユニットをやってるわけだが。何が言いたかったんだっけ?
この話は例によって100%実話なんだけど、あんまり詳しく聞かないでほしい。心にしまっておいてくれ。zampanoをやってると事件には事欠かない。事件をよく歌にしてるけど、当たり前だが重要なのは事件じゃないんだ。
点在する創造的な人々がzampanoを助けてくれてる。その人自身を縫い合わせてzampanoはある。
例えば驢馬の人たち、おれは驢馬の一員だから外からは見えないが、馨子が意味不明なことを言ったりやったり勝手についてきたり突然がんばったりして、驢馬を巻き込んでzampanoの絵巻物に綴れ織ってしまったんだ。驢馬の大坪の創った名曲もカバーさせてもらってる。goodlovin’も、ジャック/夜更けも、ちゃぶも巻き込んだ謎の綴れ織りができてるんだ。そして大事なのは歌っている内容とか、登場人物だとか、演奏者とか、お客さんとかじゃなくて、そのすべての関わり合いが作品として透けて見えるところ、zampanoの強みがあるとしたらそこなんじゃないだろうか。
素晴らしいのは音楽でも場所でも、誰かが特権的に想像した新たな作品でもないんだ。あんまり変わらないけど、少なくなっている人間らしい人間たちの営みが今なお続いていて、その起伏に富んだタペストリーを紡ぎつづけることこそ、芸術なんじゃないのかな。

 そこまでいったらもう音楽じゃなくてもいいか。娼婦と占いと歌は世界最古の職業だという説もある。zampanoは古来の音楽のやり方に忠実でありたいと思っているし、伝統的な旅芸人の作法にも即した音楽でありたい。まだまだ道は遠いが。旅の音楽家が場末のバーで見せるべき芸術はなんだろう。そういう時代錯誤な好事家の考えるようなことばかりおれは考えてzampanoをやっている。
 そう、なぜだかおれたちは現代を生きているくせに、SNSは不精だし、ユーチューブとかいうチャンネルに映像も大して上がっていないんだ。でも綴れ織ることのできるzampanoだから、このブログにわずかながらのzampanoの物語を紹介して、TwitterやFacebookやYouTubeの代わりにしてもいいかい。もし友だちにzampanoが好きそうなやつがいたら教えてあげてほしい。
それに6月6日にヘブンズドアで旅の報告をやるから、応援に来てほしい。まあ要するにそれを言いたかったんだけどな。

でもイヤだろ。Twitterとかでただの告知だけの文章見るのはイヤだろ?どうしたらいいんだ?おれの話が長いからいけないんだろうか。多分そうだな。

 今日、馨子が家出をした。大きなスーツケースに人生の荷物全部積み込んで、スタジオに練習に来た。
馨子は駅前でキモいプラカードもって自意識過剰な歌を歌ったり、謎の事務所に入ってアイドルもどきをやってる同世代の女たちの1000倍は歌が上手いとは思うが、いくら歌が上手くてもうまく行くかは知らねえからな。
「大丈夫。わたしは成功するから」
とやつは言う。よろしくお願いします。
大事なのはソウルというものがどういうものかだよ。驢馬さんが歌っていたよ。

馨子は
「(フェリーニの道の)ザンパノの真似をしてたら本当にザンパノみたいになってきちゃった」
という。
馨子の門出を祝って。いいライブにしよう。

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6/6-fri-三軒茶屋Heaven's Door viaggio

【出演バンド名】zampano / グルパリ (2man)

【前売料金/当日料金(Drink別)】 2000/2300 【open/start】 18:30/19:00

zampanoが贈る旅の音楽会「viaggio(ビアッジョ)」。第一回は稀代の放浪歌手グルパリを紹介します。ふるえて擦過する声とギターの弦。軋むレールどうしが交 わってはそれぞれの道へ。揺り籠から墓場まで長い時の旅を過ごすあなたに贈ります。

【グルパリ】 プロフィール:1989年2月5日生まれ岡山県出身の真っ白を真っ黒に塗り潰す SSW、グルパリ。毒にも薬にもならん音楽はやらんSSW、グルパ リ。フレッシュネスな絶望とカビが生えた希望をデリバリーするけど大体何処のどいつも居留守をつかってるからダウナーになるSSW、グルパリ。Twitter @donutpophatepop

三軒茶屋Heaven’s Door

住所: 世田谷区三軒茶屋1-33-19 ケイオーハロービルB1 電話: 03-3410-9581 http://www.geocities.jp/xxxheavensdoorxxx/________________________________________________

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