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2016年8月 9日 (火)

2016夏 サボテンサボ子の観察日記

 サボテンのサボ子は6月に家にやってきた。

三兄弟で、来たときはまだ小さな赤ちゃんだったよ。丸い小さな綿毛みたいで、本当にこいつがサボテンになるのかな?って疑ってしまうほどだった。


最初、おれはサボ子たちにどう接していいのかわからなかった。サボテンはさ、砂漠の植物だろ?だから水をやったり、かまいすぎたらよくないのかな?

さいわいおれの部屋は狭いけども日当たりはアホほど良い。日当たりだけで言ったら砂漠みたいなんじゃないかな。暑くて起きる夏の毎日だ。


二週間くらい、サボ子たちは根を生やさなかった。ずっと小さなまん丸のままなんだ。


おれはとっても不安になったよ。調べたら湿気が多すぎる場合には根腐れという症状だってあるらしい。根も出てないのに根に腐られても困るよな。弱った。やっぱり水はもう少しあげた方がいいんだろうか。心配で毎日サボ子たちをひっくり返して根っこが生えないか観てみたよ。でもこんなにひっくり返すのはヤボだなって思って止めた。


もしおれがどこかに根を生やすつもりだったら、って考えた。毎日ひっくり返されてどれくらい根が出たかチェックされたらたちまち嫌になってしまうんじゃないかな。

砂漠の生き物とは言え、この子達にも水は必要らしい。

放っておくわけでもなく、かまいすぎるわけでもなく、、、そういう関係は存外苦手なんだなと気づいた。


それからはサボ子本人ではなくて、土の湿り気を注意深く見るようにした。心配しすぎるのを止めようと思った。

人が何かするより光や風なんかの環境的要因の方がサボ子に与える影響は大きいんだ。もしこの部屋で枯れてしまうようだったら、砂漠よりもひでえ部屋だということさ。

人間も生きてるし、この部屋はそんなには悪くないって思ってる。


誰かのことをこんな心配になったり、不安に思ったりしないと思い込んでた。

サボ子のことばっか考えている自分を自覚して、驚いてるよ。


  

サボ子がやってくるちょっと前に、武者小路実篤の「棘まで美し」っていう小説を読んでた。薔薇が棘まで美しいように人間の欠点もまた美しい…とか書いたあらすじを最初に読んだときは嘘だろーって思ったよ。読んでみて震えるほど感動したけどな。


サボテンは棘ばっかりさ。美しいって言ったら、いきなりで嘘臭いかもしれないけど、おれはサボ子のことが大好きで、とても大事だ。
棘は欠点に思われるかもしれないけどサボテンにとってはそうじゃないよな。必要な個性だ。棘だらけなのがいいんだよ。それが自然ならさ。
そう思うようになった。

サボ子は少しずつ大きくなって、小さな瓶の土の中に根を張ってきている。

君がいつか花を咲かすことを心から願っている。

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