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2016年5月13日 (金)

サンダルを投げ出して裸足で眠る女の薬指

 昨日の朝起きてからもうすぐ24時間が経つ。

朝陽の中にいると吐きそうだ。

また中央線を乗り過ごして、まちがって神田まで来てしまった。

 サンダルを投げ出して、シートに横になって眠っている女がいる。
裸足で、赤いペディキュアをしていて、薬指を怪我していた。

 朝の電車の中では、誰もがその女のことを愚か者を見る目で見ている。わりかし美人だったけど。おれはお茶の水で乗り換えた。

 乗り換えるときにお茶の水の堀から流れる神田川が見える。

真緑をしている。

夜見ても朝見ても濁っているのがわかる。
濁った川から隅田川へ、そして東京湾に流れ込む途中におれの家はある。

徹夜で練習しているとこの時間に腹が減って困るんだよ。前の晩に何時に飯を食おうが腹が減る。


まだ通勤ラッシュは始まっていない。

スーツ姿や学生服から見れば、ギターのハードケースを持ったまま眠るような男は、サンダル投げ出したままシートで眠る女よりも邪魔っ気かもしれない。


★★★


 和歌山と大阪の驢馬のライブで、おれのガットギターはブチ壊れた。godinの方だ。
元々調子はおかしかったからなんとなく予感はしていた。1弦だけ音が出ないんだ。ピエゾピックアップがイカれたのかもな。

予感がしていたから、ツアーにはもう一本ガットギターを持っていった。スペイン製のzamapanoでお馴染みに使っていた奴だ。

こいつはよく鳴るんだが、鳴りすぎて驢馬ではハウってしまう。周りの音をサウンドホールから吸い込むように。

カツヤさんのベースの低温は言わずもがな、壺ニャンの声も飲み込んでリバーブに巻いてしまうんだ。

いつもドライで吐き捨てられる壺ニャンの声が、おれのガットギターを通してびしょびしょに残響がかってしまうのは面白いけど不本意だ。

 ライブは五月もある。やっと東京で。

それまでにおれはギターをなんとかしなけりゃいけない。


▼+▼++▼▼+▼▼


 家にたどり着く途中、橋の上で狂った感じの老人が空に話しかけている。  

 ゴミ捨て場にはでかいスーツケースが捨ててある。なんとなく不気味だ。

 こんな文章を読んでおもしろいかい?

 腹が減った。どこかに何かを忘れてきたような気がする。

ライターを毎日なくすように不毛な朝を歩いてちゃダメだ。

だけどおれは会社勤めのスーツや、女子高生みたいには朝の中を歩くことはできない。

まだ昨日が終わっていないからな。

満員電車のなかで裸足で眠るような人間の気分の方がわかる気がする。


こんなメールをともだちに出したりはしないよな。


 


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