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2016年5月18日 (水)

呼吸するダクトの暗闇をまさぐりながら

 一日中バイトして終電車で家まで帰る。

 何かをやり忘れたような気がする。

おれはバイトをしてて一番好きな時は、最後に店を締めるときにドデカイごみ袋を外のダストボックスに捨てるとき。

ダストボックスの蓋を開けるときだ。

今日が終わって、自分自身の時間が始まるから。

室外機とかダストボックスとか好きなんだよ。

 でもこの話は前にも書いたような気がするな。

今日は雨も降って大してお客さんは来なかった。

最後終わり間際に、かつて働いていたMさんがバイクに乗ってやってきた。

Mさんはうちのレストランを辞めたあと、エアコンのフィルターの清掃の仕事をやっているんだって。楽しそうだな。

閉店後、Mさんとヴァンパイアホストの店長、アメリカ人狩りの料理長とエアコンのフィルターを取り外して修理を始めた。

店舗用のでかいエアコンのフィルターを外して中を覗きこんでゾッとした。

天井からどこまで続いてるのかと疑りたくなるくらい大きなダクトの穴があった。
それは全くの暗闇で。

大きな暗闇の穴が冷たく生臭い空気を吐き出したり吸ったりしていやがる。

 おれはハアハアいった。こういうときにアルバイト面してるのが難しい。

いいか?わかるかい?

①大きな穴のあいた暗闇が

②生臭い冷気を

③呼吸している

④人工物のなかで

 
という自分の決定的な好みの条件が揃っているのだった。

今書いてて気づいたけど、おれは②の「生臭い冷気」が好きな性癖をもってると自分でも初めて知ったよ。

 そしてあろうことかMさんは(既婚者二児の母)は真夜中に作業着を着て、その暗闇の穴に手を伸ばした。まさにプロのエンジニアの手つきだ。

「あー、ダメですね。壊れてる。全部吸い込まれちゃうやつです」


なんだって?!?!?ー?!?

おれはハアハアいった。


①女性が作業着で

②プロっぽい手つきで

③機械をまさぐって

④暗闇を診断して

⑤全部吸い込まれちゃう

⑥ダメですね

 気絶しそうなくらいヤバイシチュエーションだけど、君にはわかるかな

おれ自身もうまく説明できないよ。


 でも、好きなんだ。

 好きになることに理由なんてない。

 自分が感じたり、愛したことをありのままに伝えようと思うんだ。冗談じゃなくてさ、きっとわかってくれる人がいる。

わかってくれなくてもいいよ。

 ただ、いつだって、想像できないような場所から魅力的な現在は顔を出すんだ。
その時に君のことが好きだって心から想う、その気持ちを忘れたりはしないよ。


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