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2014年6月 5日 (木)

zampanoというスタンドの能力は綴れ織ること


 
 zampanoを始めてからもう三年になる。はじめはバー巡業のための節操もへったくれもないデュオだったけれど、色んな人が関わって助けてくれて、今みたいな形になったんだ。


(zampanoの結成にまつわるストーリーは
①NGが馨子を言葉巧みに誘拐
②誘拐した馨子にズブロッカを飲まされて苦しむNG

というトートバッグのデザインになってわかりやすく説明されているから是非ライブの物販で見てみてくれ)

 zampanoは関わった人たちと「綴れ織る」ことができるデュオだと思う。第一にzampanoを好んでくれるような人は、独立志向が強くて、自分でもなにかものをつくることが好きなタイプが多いんだ。

「ブリコラージュ」なタイプ。これはNGの個人的傾向でもある。
ブリコラージュとは手作業とか日曜大工みたいな意味で、パンク音楽に関わる人に馴染みの深い単語だと「DIY」の精神に近い。do it yourself 自分でやる、という精神。驢馬に入ってからNGはパンクスの文化に触れて、彼らをとても尊敬しているしシンパシーを感じる。ブリコラージュの意味はもう少し柔らかいニュアンスだ。DIYほどヒリヒリしていない。暇に飽かせてやっている雰囲気。好き勝手な、即物性の薄いモノ作りのニュアンスを持っている。

 ブリコラージュな気質をもっている人物とNGは大変気が合うと思うんだが、それでも、zampanoが無くては点在するブリコラージュな創造的な人たちをここまで縫い合わせるようにつないでいくことは出来なかったと考えている。

 創造的な人物は得てして孤立しがちなんだ。彼らを縫い合わせ、まるでひとつのストーリーみたいに物語ったり、彩りの豊かなすばらしいタペストリーのような絵巻物に綴れ織ることが出来たのは、歌い手の馨子の力によるところが大きいと思う。感謝しているよ。

まずおれはブリコラージュなタイプの人と出会ったり、その人と仲良くなったりすることは自信あるんだけれど、そこからなんていうか自分の作品に巻き込むのは気が引けてしまうんだな。
点在する創造性は点在することによって独自の重力と環境生成能力を持っているから。別の場所にその植物を移したときにうまく行くかはわからないんだ。
それにおれは粗雑なところがあるから、誰かの素晴らしい独自の発明品を持ち歩いてる間に落っことして壊してしまったり、本人の用意した鉢とは別の鉢植えに容赦なく植え替えてしまったりする。自分でもわかっているけれど、よくないところだよな。

 ところがどっこい馨子は、創造的で頑固な人物にスッと好かれてしまうんだ。なぜだかわからないけどね。そして半ば強引にその人のモノをねだって手に入れたり、あろうことか本人を全然別の場所に連れ出したり手伝わせたりして、自分の作品に取り込んでしまう。そのやり方がまた天晴れで、ユスられたり奢らされたり手伝わされたりした人がため息をついて許してしまうような、ちょっとした彩りを添えて素朴な作品に纏め上げるんだ。やられた人もまあいっか、って思ってしまうんだろう。おれはそばで見ててけっこうハラハラするけどな。恐喝みたいなもんさ。さすがにレーベルの社長に自分らのアルバムのジャケット版画を刷らせようとしたり、ジョジョマニアのカフェの店長からスタンド・ヘブンズドアーのフィギュアせしめたり、仙台のロックンロールレジェンドに出会いしな「お父さん!」って呼びかけたときには焦ったけどな。zampanoの相方としてはバッチリだろ。

 zampanoの大部分、とくに作曲と歌詞に関してはNGがやってるから馨子はちょっと軽んじられてる気もするが、わかってる人にはzampanoにおける馨子の重要さは大いに認めているところだろう。だいたいがこのブログまでたどり着いてる人は馨子の凄さなんて十二分にご承知のことだろうけど。あえて語りたいような出来事がつい一昨日にあったんだ。
 
 実はさ、公には話さないでほしいんだけど、仲間のクソボケ野郎がヤバいことをして病院送りになっちゃったんだ。人には言えないような愚かなことさ。おれと馨子はその知らせを受けたとたん、病院に駆けつけて迎えに行ったんだ。そいつは本当に最低のクソ野郎なんだけど仲間だからな。どんな愚かなやつだとしても、そういうときは助け合わないといけないんだよ。おれはそういうタイプだし、馨子もそうなんだ。
 一応その野郎は無事で、トラブルも大事にはならず、家まで送ることになったんだけど、まだ容態は芳しくなくて。家についてとりあえず寝かしつけた。そいつは意識はハッキリしてるみたいだが謎の譫言をのたくって錯乱してヤバい感じだった。
 そのとき馨子は歌を歌ったんだ。ライブのときにやるようなやつじゃない、やさしい子守歌みたいなバラードとかを小さい声でね。
ビビったよ。だいいち「歌を歌う」という行為をそういう場面ではなかなかみれないしな。
しかもヤバい目をしてた愚か者はみるみるうちに落ち着いた笑顔の表情になっていった。精神の安静を取り戻したんだ。
そして馨子はそいつのために朝まで小さな声で歌を歌い続けたんだ。これにはまいったね。本当に歌でそいつを治癒させてしまったんだ。

 断っておきたいんだが、馨子には歌で癒そうなんてつもりはこれっぽっちもなかったんだと思う。あいつはただ単に歌が好きで、歌うことが心底たのしいだけなんだ。それでもあいつの歌声には力がある。人を落ち着かせるというか、イヤな言葉で言うと癒しの力があるんだろう。よくzampanoのCDを聞いた感想で、眠くなるとか、働く気が失せると言われるけど。多分そういうことなんだろうな。まさに「ジャンキーの耳の救世主save ya」だ。

 もうひとつ馨子を相棒にしようとおもったわけがある。あれも何年も前なんだけど、大がかりな祭りがあって最後の最後で祝いの炎が大きな火柱になってた。祭りに関わってたみんなが盛大に飲み過ぎてぶっ倒れてた朝方、おれも例によって飲み過ぎて倒れてたんだけど、馨子は飲めないから、倒れてたボケどもを介抱してまわってたんだ。脱ぎ散らかしてある防災ジャケットをひっつかんで、倒れている男たちにかけてやってた。そのころはおれは馨子とはろくに喋ったこともなかった。おれは朦朧とした意識で薄目をあけて馨子の行為を見ていた。すごいやつだな、と思ったよ。

 そんなこんなでおれと馨子はユニットをやってるわけだが。何が言いたかったんだっけ?
この話は例によって100%実話なんだけど、あんまり詳しく聞かないでほしい。心にしまっておいてくれ。zampanoをやってると事件には事欠かない。事件をよく歌にしてるけど、当たり前だが重要なのは事件じゃないんだ。
点在する創造的な人々がzampanoを助けてくれてる。その人自身を縫い合わせてzampanoはある。
例えば驢馬の人たち、おれは驢馬の一員だから外からは見えないが、馨子が意味不明なことを言ったりやったり勝手についてきたり突然がんばったりして、驢馬を巻き込んでzampanoの絵巻物に綴れ織ってしまったんだ。驢馬の大坪の創った名曲もカバーさせてもらってる。goodlovin’も、ジャック/夜更けも、ちゃぶも巻き込んだ謎の綴れ織りができてるんだ。そして大事なのは歌っている内容とか、登場人物だとか、演奏者とか、お客さんとかじゃなくて、そのすべての関わり合いが作品として透けて見えるところ、zampanoの強みがあるとしたらそこなんじゃないだろうか。
素晴らしいのは音楽でも場所でも、誰かが特権的に想像した新たな作品でもないんだ。あんまり変わらないけど、少なくなっている人間らしい人間たちの営みが今なお続いていて、その起伏に富んだタペストリーを紡ぎつづけることこそ、芸術なんじゃないのかな。

 そこまでいったらもう音楽じゃなくてもいいか。娼婦と占いと歌は世界最古の職業だという説もある。zampanoは古来の音楽のやり方に忠実でありたいと思っているし、伝統的な旅芸人の作法にも即した音楽でありたい。まだまだ道は遠いが。旅の音楽家が場末のバーで見せるべき芸術はなんだろう。そういう時代錯誤な好事家の考えるようなことばかりおれは考えてzampanoをやっている。
 そう、なぜだかおれたちは現代を生きているくせに、SNSは不精だし、ユーチューブとかいうチャンネルに映像も大して上がっていないんだ。でも綴れ織ることのできるzampanoだから、このブログにわずかながらのzampanoの物語を紹介して、TwitterやFacebookやYouTubeの代わりにしてもいいかい。もし友だちにzampanoが好きそうなやつがいたら教えてあげてほしい。
それに6月6日にヘブンズドアで旅の報告をやるから、応援に来てほしい。まあ要するにそれを言いたかったんだけどな。

でもイヤだろ。Twitterとかでただの告知だけの文章見るのはイヤだろ?どうしたらいいんだ?おれの話が長いからいけないんだろうか。多分そうだな。

 今日、馨子が家出をした。大きなスーツケースに人生の荷物全部積み込んで、スタジオに練習に来た。
馨子は駅前でキモいプラカードもって自意識過剰な歌を歌ったり、謎の事務所に入ってアイドルもどきをやってる同世代の女たちの1000倍は歌が上手いとは思うが、いくら歌が上手くてもうまく行くかは知らねえからな。
「大丈夫。わたしは成功するから」
とやつは言う。よろしくお願いします。
大事なのはソウルというものがどういうものかだよ。驢馬さんが歌っていたよ。

馨子は
「(フェリーニの道の)ザンパノの真似をしてたら本当にザンパノみたいになってきちゃった」
という。
馨子の門出を祝って。いいライブにしよう。

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6/6-fri-三軒茶屋Heaven's Door viaggio

【出演バンド名】zampano / グルパリ (2man)

【前売料金/当日料金(Drink別)】 2000/2300 【open/start】 18:30/19:00

zampanoが贈る旅の音楽会「viaggio(ビアッジョ)」。第一回は稀代の放浪歌手グルパリを紹介します。ふるえて擦過する声とギターの弦。軋むレールどうしが交 わってはそれぞれの道へ。揺り籠から墓場まで長い時の旅を過ごすあなたに贈ります。

【グルパリ】 プロフィール:1989年2月5日生まれ岡山県出身の真っ白を真っ黒に塗り潰す SSW、グルパリ。毒にも薬にもならん音楽はやらんSSW、グルパ リ。フレッシュネスな絶望とカビが生えた希望をデリバリーするけど大体何処のどいつも居留守をつかってるからダウナーになるSSW、グルパリ。Twitter @donutpophatepop

三軒茶屋Heaven’s Door

住所: 世田谷区三軒茶屋1-33-19 ケイオーハロービルB1 電話: 03-3410-9581 http://www.geocities.jp/xxxheavensdoorxxx/________________________________________________

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NG
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