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2014年5月16日 (金)

ブルーズマンはグレイハウンドバスに乗りながら猟犬の夢を見るのか

 御無沙汰しておりました。NGです。元気にお過ごしですか。
前回、前々回の記事を更新してから、現実で会う沢山の方々に励ましていただいたり、いろんな感想やお声かけをいただいたにも関わらず、更新しなくなってしまい御免。

 特に落ち込んだりナーバスになっていたわけではなくて、ライブ続きで大忙しで更新をサボっていただけなのでご容赦ください。

本当は書くべきことが沢山あったのに。
サナトリウムのこととか、徳久ウィリアムとのこと、
驢馬の東北ツアーのこと、
秋田はアメリカの荒野みたいにワイルドで、十文字の車の中古販売所でライブして、女子高生が本気でモッシュしていたのを観て涙を流したり、
夜にzampanoで秋田市内の暗黒な雰囲気のバーで激怖ハードコアバンドの前座をしたりね。
青森の弘前で天井の高い映画館跡のライブハウスでリバーブが空間に吸い込まれていくのを観たり、城の桜を観ようとしたら散っていて、眼鏡が壊れたり。
岩手は盛岡で、秘密ロッカーの素晴らしい演奏と家族を観たり。とても親密な雰囲気のバーでファイナルの演奏をして。
そう、BAD ATTACKと秘密ロッカーと一緒にツアーを回ったんだけど感動させられっぱなしだった。非常にヒリヒリしたパンキッシュなツアーだった。
あと東北ツアーでNGTシャツが売れ行き好調だったんだが、東京に帰ってきてその話をしても誰も信じてくれないんだよ。


 帰ってきてから時間労働を八連勤して今日はまたツアーに出かける。今度はzampanoのふたりで、仙台と福島へ。
これでおれは東北は秋田、青森、岩手、宮城、福島と5県回ったわけなんだが、まだ山形にはツアーで行ってないんだ。山形には実は母の実家があるから行けばいいのになかなか機会がなかったんだね。まあ、これから。

驢馬のツアーみたいにレンタカーに6人(メンバー5人とスタッフで馨子が来てたんだよ)を寿司詰めにして楽器満載で行くわけじゃない。高速バスだから気楽なもんさ。
おれはギターのハードケースと言うやつが重たすぎてどうにもこうにも好きになれないんだけれど、バスの発着所でハードケースを持って待っているのは、ミシシッピからシカゴをグレイハウンドバスで廻ったデルタブルーズマンの気分に少しだけなれるから、格好つけるためだけにハードケースで来たんだ。ロバート・ジョンソンは死んでも悪霊になってグレイハウンドバスに乗ったんだよ。
そんなクソ暢気なこと考えていたら、相方のボーカルのアホ女が忘れ物をして発車時刻に遅れやがった。おれは車掌さんに乗車をキャンセルしてもらおうとしたんだけど、待ってくれると言う。高速バスって飛行機みたいに待ってもらえるんだな、知らなかったよ。

 そんなこんなで今夜は仙台でライブやるんだけどさ、明日は福島ね。
おいしんぼで鼻血が出たり、海原雄山がなんか言ったりしてる福島ね。ああいう表現、おれはイラッとくるけど、まあ特に反論するつもりはないんだ。
なんで福島に行くのか?とか放射能で死んでもいいのか?とか言われることもあるみたいなんだよ。わかんないよね。東京の小さい子供たちも鼻血だしたりしてるらしいよ。
ただおれはもう子どもじゃないし、ミュージシャンとかアーティストがある日突然死んだとしても天命だと思うし、それだけの器だったということで。
 日本に住む人々のそれぞれが放射能で差別しあう世の中が、きっとすぐに完成すると思うよ。で、所得の多い人は核シェルターみたいな家に住めばいいけど、そういうわけには行かない人は亡びてしまうのかもね。

 実は先月に第一原発の近くまで行ってきたんだ。津波で流されて無人に近い街だった。人っ子ひとりいない昼間の街というやつだ。それなのに、なぜだか建て売りの新興住宅地がたくさん建っていた。
そして原発に向かう道はガラガラに空いているんだけど、時折作業員らしき人たちを満載したバスが走っているんだ。対向車線には運転手しか乗っていない空っぽのバスが。びゅんびゅん走って帰っていく。作業員を原発までピストン輸送しているんだ。ゾッとしたよ。20km圏内には人間がいなくなって野生化した植物や動物があると噂で聞いて、観てみたかったんだけど、それはかなわなかった。黒い風呂敷みたいなものに包まれた土嚢が堆く積まれていて、あれは汚染された土だという。それが大量に道に放置されていた。アクションゲームで触ると命を1DOWNさせてしまうどくろ印のアイテムみたいだった。馬鹿げている。
 ひどく恐ろしいことが起きていて、大嘘つきがそれをゆがめた形で喧伝していることだけはわかった。他には何もわからないけど。

なんで行くのか?
おれは「がんばろう」なんて言うつもりはさらさらないし、復興支援もできないし、する気もない。むしろ福島の人に音楽や衣服を売りつけて自分の食い扶持を凌ごうとしている節操のない旅商人でしかない。

 ただただ、縁と運命の流れでそうなったとしか言いようがないんだ。zampanoの初めてのツアーで福島に誘われて、ReAcousticというカフェでもりさんや、今回のBLACK COMET CLUBのヒツジさんや、仙台のDUCK TETSUYAさんに出会って、zampanoにとって旅と音楽がどんなに大切な要素か、それが何を与えてくれるかを知ったんだ。
あの人たちとはまだ一度しか会ってないし、福島には今回が三度目だけれど、おれはもうあの人たちとあの人たちが暮らす街と、音楽を愛しているから、例え鼻血が出ても行くよ。
例え未来がどうなろうとそういう筋書きなんだよ。

だから鼻持ちならない金持ちたちや、怯えきっている母親たちや、未来ある子どもたちのとるべき行動とは矛盾しているかもしれないけど、そしてこれが後の世の中から振り返ったときに正しいことなのか?はわからないけれど、やっぱりzampanoは行きます。

日本中どこだって、われわれ自身の生きている生まれた場所が、既に何かの血で染められた過去のある罪深い愚かしい滅びかけた場所で、そのことを忘れないように。



p.s. 驢馬の新しいビデオができました。

驢馬-ロバ-/『昼下がり』MV:
http://t.co/Hmc0JpvFmx



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