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2011年10月28日 (金)

夜の音楽

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10/29土曜日に企画ライブをやる。
今回の企画は蔵前にあるバー、ジャックの七周年ライブ。
ブログを読み返してみてわかったのだけど、このブログの中で「ジャック」のことはライブ告知以外はほとんど書いてなかった。
今回はジャックの七周年企画ライブの直前だし、ジャックという店との関わりを書ける範囲で書いてみようと思う。

ことの発端はOという男との出会いから始まる。(いきなり本名伏せた意味はあんまり無いのだけど、こういう再発見手記風スタイルで行く。)

 Oとは、私が長年アルバイトしている神保町のイタリアンレストランで出会った。
彼は詩や小説を書いているらしく、音楽に詳しかった。
その頃私はHapworthというバンドをやっていて、Oがライブを観に来てくれたことがある。
ライブが終わった後、Oに言われた言葉は
「要するに夜の音楽がやりたいわけでしょ。
 でも君の音楽はまだ夕方だ。」
と言われた。

 この言葉は永いあいだ私の頭をまとわりついて離れなかった。

 Hapworthをやっていた頃、音楽性に関することや私の歌について感想を言われたことは多かったが(音楽の専門性の高い友人の多い悪癖で、専門性が高い批判ばかりをされがちなのだ)、
全体の雰囲気やニュアンスに対する率直な意見を言われ慣れていなかったこともある。

 別にことさら夜の音楽を指向していたわけではないが、確かに私の好きな音楽は所謂「夜の音楽」だ。その中途半端な憧れの発露が、O曰わく「夕方」という表現だったのだろう。

そしてよくよく考えてみると、私は二十歳を過ぎてから、絵画と音楽にしか関わってこなかった。
 夜の音楽を聴きながらも、実際の夜の世界や、夜の音楽を必要とする人たちのことをほとんど何も知らなかったのである。

 その後、バンドのことで行き詰まった私はOに連れられて飲み歩くことになる。
 バンドマンは自分たち以外の世界に疎い。(少なくとも私はそうだ。)現在のライブハウスの多くは隔離された空間なのだ。
 
 Oは飲み仲間が尋常じゃなく多い。私はいろんな業種の人と飲み、語らうことになった。

 Oと親しくなって暫くしてから私は彼から文学賞に応募する詩の選出を頼まれたのだった。
 正直に言うと変な日本語の詩だった。
 Oが言うには、これらの詩はどうやら自分の作曲した歌の歌詞らしい。Oは長いことひっそりとバンドをやっていたという。
Oがやっているバンドが一体どんなバンドなのか、彼は一体どんな音楽を創るのか興味を持った私は、Oのバンドのスタジオ練習にセッションしに行った。
 Oがやっていたバンドというのが「le mot(ルモ)」である。
 
 その後、Oに依頼されて様々な場所でライブをやることになる。
 隅田川花火大会での野外演奏や、夏やっていた関内のホテルのライブなどもOが斡旋してくれた演奏だった。
 
話は前後するが、Oはジャックでバーテンとして働くことになる。
ジャックはもともとOが常連客として通っていたバーなのだが、まわりまわってOが働くことになったのだった。
 図らずも店という空間を任されてしまったOは、私に店に飾る絵と、店でかける音楽、そしてライブ演奏を依頼した。

 そうして私の浅草(蔵前)通いが始まった。
最初は私の版画を展示し、美大の後輩たちの絵を推薦して展示した。
ターンテーブルやミキサー、パワーアンプを一新して、レコードを持ち込んだ。
そして私のミュージシャン仲間を紹介して一緒にライブをやった。酔客の前で、或いはガラガラの夜もあったし、一晩に4、5ステージ要求されることも屡々だった。

Oと私が追求したのは夜の音楽である。Oは久しく出会っていなかった「レコードを掘る友人」となった。
Oと私は競うようにして真っ黒い壁にJack Daniel'sとしか書かれていない空間に合うような、恥ずかしがらずに言えば、闇夜のような音楽の詰まったレコードを探した。
 
 夜の音楽探しは、当然のようにトム・ウェイツからはじまり、ラウンジ・リザーズからAECやセロニアス・モンクに飛び火し、プッシーガロアやPiLも勿論かかり、ジョー・ヘンリーに歓喜した後は、キャブ・キャロウェイなど戦前のジャイブにも波及した。

夜の音楽とは何か?
それはもう半ばどうでもよくなってもいるのだが、ただ深夜過ぎてまだ酔い客の帰らないバーでは確かに必要とされている音楽がある。
ジョー・ヘンリーが店でかかって、客の誰もが黙る瞬間を何度か目にした。
郷愁とは違う、圧倒的な音楽の次元で人間に語りかけるもの。
 
 
 

そして、今週末のジャック七周年記念ライブの企画が持ち上がった。
出演者の選定はジャックらしく、私とOが一緒に呑んだミュージシャンから先に決めていった。
だからというか、ジャックで多くの演奏をともにしたサトシさんやイヤマリ、馨子は出演依頼し損ねてしまった。(なんというかスマン)
 
私は驢馬、Oはle motで出演する。
 
 驢馬もle motも私やOが考える理想の「夜の音楽」にはまだなっていないように思うし、それとは少し方向が違うようにも思う。
ただ、Oの斡旋で酒に関わる色んな場所で演奏することになった私と、毎晩ジャックダニエルを客に出しているOの二人の、夜だろうが昼だろうがどうでもいいような現在の姿をひとつの形で表現したかった。
とにかく奇妙な経緯で夜に踏み入れた人たちの集まりではある。

博打もしたかった。一晩箱を借り切って勝負をしてみる。

とにかく今現在私が聴きたい音楽が鳴りまくるので楽しみだ。29日。

 









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